聴覚探索における非対称性
騒がしい場所では,特に注意を向けなくとも目立つ音や気にかかる音が存在します.
目立つ音の特徴やその知覚メカニズムを調べることで,全方位に対して最も有効な感覚である
聴覚の監視機能を明らかにしようとしています.
本研究では,目立つ音の特徴を調べる手法として探索非対称性に着目しました.
聴覚探索実験により,変動(揺らぎ)を持つ音や意味音声が瞬時に見つけら
れることがわかりました.また,脳機能画像により音を知覚するときの脳
活動を測定し,目立つ音と目立たない音の知覚の違いについて検討しています.
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図.視覚探索における非対称性の例 (「円」と「木」,Treisman et al., 1985)
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左側の図で円を見つけるのは難しいですが,右側の図で木は簡単に見つかります.
このように,探すもの(目標物)と邪魔するもの(妨害物)が入れ替わるだけで,探索の難易度が大きく変化します.
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図.刺激音数の変化に伴う探索時間の変化
(赤:意味音声,青:無意味音声)
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図.ゆらぎを持つ音の探索課題と持たない音の探索課題で活動が変化した部位
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音の心理的な聞こえ方を調べる
音のさまざまな物理量が,人間の心理に与える影響について検討を行っています.
心理量と物理量の対応関係が明らかになれば,より人に直感的な音質調整ができるよう
になると考えられます.
これまでの研究で,ステレオ音源の左右のチャネルの
パワースペクトル(周波数ごとの音の強さ)を混ぜ合わせて相関係数
(どのくらい似ているかを表した値)を変化させたときに
,広がり感が単独の心理的因子として知覚されることが分かりました.
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図.印象評価実験の回答例.
聞こえた音楽の印象をたくさんの形容詞対を用いて評定し,
解析を行います.
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図.心理構造モデル
パワースペクトルを混ぜ合わせたときの音質の変化が,
どのような心理的因子により知覚されるかを表している.
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